NHK「せかいま(6月7日放送分)」についてコメントしました(毎日新聞)

未分類 /

NHKの「せかいま」について毎日新聞でコメントしました。
「ステレオタイプの「怒る黒人」、レベル低い歴史認識…NHK、米抗議デモ解説動画を削除、謝罪」(毎日新聞6月9日)

「林香里・東京大教授(ジャーナリズム研究)は、そもそも「放映された番組自体に違和感があった」と指摘する。番組では黒人男性が白人警察官に殺された事件などを説明した上で、背景の解説としてアニメ動画を使用していた。しかし、ツイッターの投稿内容と同様に「銃社会のアメリカで白人警官は黒人への恐怖の中で仕事をしている」と、まるで「黒人=暴力」とするかのような説明やデモの「暴徒化」という側面を強調していた。林教授は「銃を持つのは黒人だけではないし、デモのほとんどは憲法に保障された抗議活動だ。NHKは米国をこれほど理解していないのかと衝撃を受けた」と話す。
 アニメ動画の描き方についても「『怒る黒人』はステレオタイプ(固定観念)だ。こうした描き方が偏見を助長する。黒人差別の長い歴史を十分に説明せず、あまりにもレベルが低い」と指摘する。
 さらに林教授が危惧するのは、番組に出演していた米国駐在の記者ら、国際報道を担うNHKの局員が総動員で携わっていたにもかかわらず、こうした放送がなされたことだ。「世界各地で問題提起されているテーマなのにあまりに理解が浅い。日本と無関係な『対岸の火事』と思っているのではないか。日本の国内にもさまざまな差別があり、大規模デモは起きなくても苦しんでいる人はたくさんいる。人ごとのような報道はジャーナリスト失格です」と憤る。「このような番組はいったん中止し、こうした内容のどこに問題があるのかを徹底的に検証すべきだ」